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看護師として
患者さんのために自分ができることを。
後悔をしない生き方
患者さんのために自分ができることを。
後悔をしない生き方
畑ゆかりさん
よりそい鍼灸院 畑 開業2013年 鍼灸コース卒業
入学前

看護師から鍼灸師へ
- 入学前は何をされていましたか。
- 看護師として病院勤務をしていました。看護の中でも緩和ケア※に特化した認定看護師の資格を持っているので、癌や非癌の進行性の患者さまや、そのご家族と接する事が多い仕事でした。
※緩和ケアとは?
⇨厚生労働省のページをご覧ください。
- 医療分野を目指された、また、看護師を目指されたキッカケを教えてください。
- 時期は異なるのですが、両親を病気で亡くしたことがキッカケです。私が学生の時に、母は癌で亡くなりました。その頃から、お見舞いなどで病院には慣れていました。 病院で働く方にお世話になることがある一方で、逆にこれはもう少しこうすればいいのにと思う事も生意気ながらありました。最終的には癌の看護がこれから変わっていくことを感じ、自分もそれに携わる人間になりたいと思いました。 当初は医療分野の中でも、漠然と薬剤師を目指していました。しかし当時、薬剤師は4年間学校に通わなければいけなかったのに対し、看護は3年制が多かったことから、少しでも早く社会に出て自分の力で生きていけるようになりたいと思った事と、お見舞いに行っていた病院の看護師さんに「絶対看護師に向いているから看護師になったらいい」と言われた事で、看護師を職業として意識し始めました。
- 認定看護師の資格は、いつ頃から取ろうと思われたのですか。
- 知識が足りないことで患者さんやご家族に提供しきれない部分があるなと感じて、ある時ふっと「じゃあ、勉強しよう」と思い立ちました。職場を休職して6ケ月間、専門の教育課程を神戸で受けて認定看護師の資格を取得しました。
- 認定看護師の資格を取得されてから、仕事にどのような変化がありましたか。
- 当時は、癌患者に対して看護や医療は、一部の先生を除いてあまり重要視されていませんでした。しかし、私が認定看護師の資格を取ったことで、その重要さに気づく雰囲気を作る事が出来、組織自体をある程度変えることが出来たと思っています。
- 鍼灸をプラスアルファとして学ぼうと思われたキッカケは何ですか。
- 認定看護師の資格をとる前から、疲れた時には鍼灸治療を受けて楽になる経験をしていたので、ずいぶん前から鍼灸の資格を取ろうと思っていました。ただ、学費や仕事のこともあるので働きながら通うのは、大変だろうと思い留まっていました。 認定看護師として緩和ケアをより深く学んでいく中で、患者さまがいろいろな苦しみを抱えておられることに対して、西洋医学では薬やマッサージ、リラクゼーション等で緩和をしていくというのが主でした。そこで、自分が鍼灸治療をできれば、症状緩和の一つのツールになるのではないかと思い、職場と相談しながら鍼灸学校に通う時期を検討し始めました。認定の資格を取ってから3年ぐらいが経っていました。
- 病院からの理解を得ることは大変でしたか。
- 管理職をしていたので、後輩を育成しなければいけないし、他にもしなければいけない事がありました。ただ、私の性格上、これと思ったら絶対に実現させないと気がすまない性格なので、病院側には、約束の月日は必ず病院に還元することと、後輩を育成することを条件に妥協点をみつけました。
- 鍼灸学校はいろいろ探されたのですか。
- 大阪・兵庫・京都で探しました。引越しと同時に職場も変えて学校に通うことは難しいと思ったので、近場である神戸市内で最終的に絞り込みました。 三宮の病院で17時まで働くと決めていたので、どんなに早く仕事が終わったとしても、授業開始は18時じゃないと間に合わないなと思っていました。その点で、神戸東洋医療学院は他の学校に比べて夜間の授業開始時間が15分程ですが遅かったので必然的に決まりました。
在学中

看護の仕事と両立しながら、経験をバネに

- 看護師として、仕事と勉強の両立は如何でしたか。
- 勤めはじめた病院の勤務が、とても過酷で学校との両立が難しくなったので1年後に病院を辞めました。その後、訪問看護の仕事に就いた事で国家試験の勉強を出来る体制が出来ましたね。5時までの勤務では無理だと思ったので少し早めに上がれるパートのような勤務形態にして頂き、そこに今も勤めています。
- 国家試験の勉強は、生活の中にどのように組み込まれたのですか。
-
もともと学生時代から試験向きの勉強が得意だったので、学院での試験は短期集中型として前日に頑張っていました。昔から、自分のヤマやカンを信じているところがあり、過去対策から「ここは捨てよう」「ここはやろう」という勉強方法をしてきました。鍼灸師の国家試験に関しても捨てるべきところは捨てて、ぎりぎりでもいいからとにかく受かればいいと思っていました。6割正解すれば受かるはずと自分を信じていましたし、看護の国家試験や認定看護師の試験を経験してきたことで試験慣れしていた事が大きかったと思います。
- 実際に国家試験に合格された時は、どのような心境でしたか。また、鍼灸師という資格をどのように活かしていこうと思いましたか。
- 合格した時は、本当にやれやれという感じでした。3年間よく頑張れたなと。ただ、鍼灸師の資格を取っても看護の仕事は一生従事すると決めていたので、卒業してどこかの鍼灸院で勤めようとは思わなかったです。 卒業後、結婚とほぼ同時に開業しました。治療院となる物件はテナントなども含めて探しましたが、最終的に職場も近くて自分たちの生活スタイルに合う方法として、住宅を兼ねた現在の治療院を開業しました。夫は鍼灸師として頑張って、私は訪問看護を中心的として鍼灸は自分のペースで活かしていけたらいいなと思っています。


卒業後

最終的には患者さまが喜ばれる治療を
- 神戸東洋医療学院に入学される前と、卒業後鍼灸師になった今の自分にギャップはありますか。
- 鍼の種類から考え方、打ち方に至るまで、鍼灸治療にこんなに様々なスタイルがあることを全く知りませんでした。鍼灸と一言に言ってもいろいろなスタイルがある事にびっくりしました。
- これから目指す理想像はありますか。
- 誰々のようにというように、お一人には絞れないですが、最終的には患者さまが喜ばれる治療を提供できるように、いろいろなものを身につけたいと思います。患者さまによって感受性も全然違うので、優しい鍼も大切だし、それでは物足りない方もいるので、本当にその方に合わせた治療が出来るようになりたいと思います。
- 治療院で力を入れていることは、ありますか。また開業の形態を教えてください。
- 出来るだけ一人ずつ治療をしています。お二人同時でも、ご夫婦やお友達同士ぐらいしか受けないようにしていますし、BGMなどもそうですが、くつろいで頂ける空間づくりをしています。 基本は予約制で不定休にしています。研修に参加する為、週末はお休みのことが多いです。予約制にする事で、自分たちのスケジュールも合わせられるので無理はありません。私の場合、訪問看護の仕事もあるのでそれはとても大切なんです。それから、テナントだと家賃の心配などもあるのですが、自宅で開業している分その負担は少ないですね。


- 患者さまから言われて嬉しかったエピソードを教えてください。
- 開業以来、ずっと来てくださっている患者さまで、進行性疾患の難病をお持ちの方がいらっしゃいます。以前は、投薬によって症状を遅らせる程度で、希望を持てず「死にたい、死にたい」と仰っていて、体が冷えて夏でもカイロを手放せない状況だったのが、鍼治療を重ねた今では全く冷えがなくなって、顔色もすごく良くなったとご家族も認められています。西洋医学は辞めても、自分は東洋医学を選択すると仰っています。どんな体調の時でもここに来るのもリハビリの一つ、一週間の楽しみの一つとして来院される姿に、やっぱりこの勉強をして良かったなと感じています。
- 女性だから苦労された事や、逆に得したという事はありますか。
- 女性としてしか生きていないので比較は出来ないのですが、医療に関しては女性が求められる傾向にあると思います。それは優しさや安心感などの女性特有のイメージを持っている方が多いからだと思います。ですので、患者さまにとって女性が居てくれた方が、第一歩が踏み出しやすいのだと思います。うちも女性の患者さまが多いですし、同じ女性として相談しやすいという部分もあると思います。
鍼灸師を目指す方へメッセージ

my favorite things

何かあれば着物を着ます。襟を正すことで、自分自身を凜とさせることの出来る大切な時間です。
6月になれば毎年恒例となっている梅酒をつくります。20キロぐらい。今年は梅干しもつけました!
庭でバジルや紫蘇などの食べられるハーブを育てています。口から入るものは少しでも安心できるものを!
ナチュラルな生活。自分らしく日々を過ごしています。

多分これは緩和ケアに従事しているので思うことです。明日が必ず元気で何でもやれるという保障は無いので、今日出来ることは今日しっかりと行い後悔はしないこと。その積み重ねが人生だと思っています。
よりそい鍼灸院紹介

