サラリーマン、柔道整復師を経てから鍼灸の道へ

入学前は何をしていましたか？

中学・高校と水泳をしていて、大学入学後アルバイトでスイミングのコーチをしていました。大学卒業後はスポーツも関係ない商社でサラリーマンをしていましたが退職し、柔道整復師の専門学校に入学し接骨院でアルバイトを始めました。柔道整復師の資格を取って2年後に神戸東洋医療学院へ入学しました。

柔道整復師の専門学校に入学したきっかけは？

もともとスポーツトレーナーというか、スポーツに関連したことをやりたいという興味はありました。就職してサラリーマンになってからも、週末にはスポーツトレーナーの勉強やトレーニングなどをしていて。仕事に出来るならやってみたいと思うようになり、せっかくなら国家資格を取ろうと決意しました。当時は理学療法士か柔道整復師かで悩んでいて、そのときに出会った人から柔道整復師について聞く機会があり、柔道整復師の資格のことを知ることができました。また、その方からはアルバイト先の接骨院まで紹介してくれたこともあって、柔道整復師を選びました。 もしそのとき出会った人が鍼灸師だったら、鍼灸師の道へ進んでいた可能性はあったと思います。正直当時は柔道整復師も鍼灸師もほとんど分かっていなかったので（笑）。

鍼灸師になろうと思ったきっかけはなんですか？

柔道整復師の専門学校を卒業後に勤めていた接骨院では、柔道整復師2名・鍼灸師2名で構成されていましたが、鍼灸の患者さんも多かったんです。100名中30～40人は鍼灸といった感じでした。そこで柔道整復師だけでなく、鍼も打てたらいいなと思い始めたのがきっかけです。

更に鍼灸師の学校に通うことにためらいはなかったですか？

正直学費の面に関しては少しためらいもありましたが、長い目でみたときに鍼灸師の資格はあったほうが将来役に立つとも思いました。

神戸東洋医療学院に入学を決めた理由はありますか？

実は、鍼灸師の学校を選ぶ際には、どの学校にも体験入学や学校見学はしなかったんです。もちろん神戸東洋医療学院も（笑）。学校を選ぶ際のこだわりとして、出来るだけ長い時間働いて夜間部で学校に通おうと考えていました。あとは、それまでに出会った鍼灸師のほとんどが神戸東洋医療学院の卒業生だったこともあったので、学校見学などしなくても学校の情報や授業風景など聞いていて。それで神戸東洋医療学院の１本で決めました。また、柔道整復師を関西健康科学専門学校で学んでいたこともあって、関西健康科学専門学校と神戸東洋医療学院は提携していたのも知っていたので、神戸東洋医療学院での基礎科目や西洋医学系科目の授業はほとんどが免除の対象になることも決め手のひとつでしたね。

家族とともに歩んできた夢の道

神戸東洋医療学院の在学中、苦労したことはなんですか？

神戸東洋医療学院に入学する頃には、妊娠していた妻が臨月の状態で、入学後に２人目の子どもが産まれました。日中は仕事をし、夜は学校の授業でしたので、帰宅が22時でした。そのため妻には子育ての部分でとても負担をかけたと思います。授業が免除になっていて授業が1限で終わる日などは、出来るだけ家のことはしていました。 ちなみに勉強は仕事前に、朝5時頃に起きて5時半～7時半を勉強時間にあてていたので睡眠時間が少なく、授業がキツイと感じるときはありました（笑）。

ご結婚はいつされたのでしょうか？

柔道整復師の学校在学中に出会い、そのまま在学中の27歳のときに結婚しました。卒業と結婚のどっちを待つかで考えて、結婚を選んだ感じです（笑）。柔道整復師の学校を卒業後はすぐ正社員で働きましたし、神戸東洋医療学院では夜間部でしたので、仕事の雇用形態も変わらずお給料も下がることはなく、生活の面では安定していました。子どもが２人いる状態での通学ということもあり、家族の理解があることが一番の支えでした。今でも感謝の気持ちで一杯です。

在学中に印象に残ったエピソードはありますか？

やはり1年生のときに行った中国研修旅行がとても印象に残っています。天津中医薬大学での解剖実習ではとても若い先生に気に入っていただけて、任せていただいたりもしました（笑）。とても貴重な経験ができたと思います。

臨床実習の授業はどうでしたか？

スポーツはトリガーポイント臨床のイメージも強いですが、僕は勤務時間の関係で、中医臨床を選択しました。中医臨床を選択した学生は多く、体全体のバランスを細かく見ることができるので勉強になりました。

国家試験に向けての準備はいかがでしたか？

柔道整復師を取得しているので、自分なりの国家試験の勉強方法は確立していました。２年生の段階から基礎医学の分野を完全に取れるようにしっかりと勉強していき、鍼灸師も無事取得することが出来ました。

卒業・国家試験に合格したときの感想は？

正直それほど大きな心境の変化はなかったですが、やっと終わるというか、柔整と鍼灸の学校をそれぞれ3年間通ってやっと開放されたっていう気持ちが一番大きかったです。まぁずっと勉強していたこともあって、もう勉強しなくていいのかな？っていう戸惑いは少しありましたけど（笑）。合格発表の日に合格を確認したときはホッとしました。

開業～地域の学生のスポーツ現場を支える～

開業したのはいつからですか？

神戸東洋医療学院を卒業してちょうど1年後に開業したので、もう2年ちょっと経ちました。柔道整復師の資格を取ってからは8年になりますね。柔道整復師の学校在学中から開業については意識をしていて、35歳には開業したいと考えていました。神戸東洋医療学院を卒業してちょうど1年後が35歳だったこともあって、そのタイミングになりました。 神戸東洋医療学院を卒業後の半年程は開業に向けての構想を練って、具体的には同年の秋頃から動き出しました。開業に向けての自己資金も貯めていたのと、今の店舗が前も鍼灸院だったという物件をみつけて、思っていたよりもスムーズに開業できました（笑）。

治療院の内装やＨＰのこだわりは？

ＨＰはデザイナーにお願いしました。ロゴはある程度のデザインの中から選択して、自分のイメージをお伝えし、作ってもらいました。治療院の内装は、とにかくシンプルにしました。酸素カプセルを導入した際にはベッドの配置を変えたり、トレーニングをするにあたってトレーニングスペースをつくったりもしました。間取りや形に併せて手作りしたり、自分なりのカスタマイズをして、こんな感じになりました。

経営でのポイントはありますか。

特にこれといった経営のポイントはないです（笑）。まぁ一人でやっていることもあって、僕は僕の思うように出来ることもあって楽しいです。学生時代やサラリーマン時代、そして柔整と鍼灸の学校でいろいろやってきたことが今活きていると思います。

開業後の道のりはどのような感じですか？

開業してから半年たっても軌道には乗らず最初は正直きつかったです。元々は保険施術もしていたのですが、いろいろと改善を加えていって、今は自費診療メインです。

治療院のスタイルを教えてください。

患者さん1人に対して30分～1時間かけて治療していきます。接骨院でもあるので外傷に対しても診療はします。あとはリラクゼーションなどもしますね。最近はホームページにもあげていますが、水泳のトレーナーをメインに活動をしています。近所の高校生や、遠方でもスイミングスクールに通っている中学生・高校生がお見えになりますね。もちろんほかのスポーツについても診ています。外傷に対しては柔道整復、コンディショニングに対しては鍼灸を使ったりしていますが、割合として今はまだ柔整8：鍼灸2です。また、近くのクリニックと提携をし、紹介のあった慢性腰痛や肩こりの症状の患者さんを保険鍼灸で診たりもしています 治療の流れとしては強引な予約を取ることはせず、始めに数回診させていただいて、あとはご自宅で出来るストレッチやトレーニング方法などを指導します。そしてしばらく経過してからまた診させてくださいとお伝えしています。

仕事に「鍼灸がどのくらい、いかせるか」といったイメージはありましたか？

正直あんまりイメージつかなかったですね。卒業当時の職場がクリニックだったので、鍼をする機会がなかったんです。卒業後に開業することはイメージしていましたが、技術面でもまだまだ未熟だと感じる部分はあったので自信はなかったですね。現状も鍼をさわっている時間が少ないなと思うので、神戸東洋医療学院主催の勉強会に参加しています。勉強会は一般のものと違って母校での開催なので、先生との距離も近く気軽に質問もしやすく行きやすいです。かれこれもう3年も参加しています！

今の自分と思い描いていた鍼灸師についてのイメージはどうですか？

もともとそんなに思い描いてはいなかったですけど（笑）。でもまぁ、やっぱり鍼で効果を出す難しさはめちゃくちゃ痛感しています。今の僕のレベルではまだまだですし、師匠となるような人についたほうがいいんでしょうが、開業しているのでなかなか。なので神戸東洋医療学院の勉強会に参加したり、先輩鍼灸師に教えてもらっていたりします。

鍼灸師資格を取得してよかった点はなんですか？

一番は患者さんからの「良くなったよ」「また来るわ」と言ってもらえたときは、とても嬉しいですね！ 技術面では、今まで以上に触診をすごく意識するようにはなりました。痛い箇所だけでなく、他の箇所の状態もお伺いし、全体的に診ていきます。 また、柔道整復師を持っていたこともあってある程度は筋肉について勉強していましたが、鍼灸の勉強をしてまだまだ分からないこともあったり、さらには細部まで勉強できたので、身体について勉強しなおしたというのは良かったですね。特にマッサージでも取り切れない痛みや、触りにくい箇所にアプローチできるのは鍼ならではだと思います。

今後の展望を教えてください。

今後はやはり水泳メインでの治療をしていって、これまで専門的なトレーナーの指導を受ける機会が少ない学生へ向けて、セルフトレーニングやセルフコンディショニングを普及していくような指導が出来たらいいなと思っています。あとは、いずれはどこかのチームについて診てみたいとも思いますね。

学生からスポーツトレーナーになりたいと相談されたらどうしますか？

100％鍼灸師を勧めます！あとはプラスで理学療法士やアスレチックトレーナーがあればなおいいと思います。

鍼灸師を目指す方へメッセージ

僕は柔整の資格を取ってからしばらくして鍼灸の資格をとりました。鍼灸の資格を取ってからは、やっぱり治療の幅も広がりましたし、患者さんの要望にも応えれることも増えました。ダブルライセンスは大変かと思いますが、ぜひ鍼灸の資格も取って、将来頑張っていただけたらと思います。

my favorite things

子どもたちとの時間や趣味の時間を大切に

• 子どもたちが育てている野菜のお世話が毎朝の日課です。苦手な野菜も自分たちで作ったものは頑張って食べています。

  

• 勉強会等のない休日は子供たちと過ごすことがほとんどです。電車に乗ったり公園で遊んだり。結構体力使います。

  

• 近々大会にも出てみようかと時々練習しています。
  （これは結構昔の写真）

  
  

この業界に入ったころに先輩に『患者さんから「先生」と呼ばれるからといって態度が大きくならないように』と教わりました。