- 開業
- 介護
自分の育ったこの街で訪問鍼灸院を開業。
地域の方々との繋がりを大切に
介護全体に携わっていきたい。
地域の方々との繋がりを大切に
介護全体に携わっていきたい。
野口心平さん
のぐち訪問鍼灸院2013年 鍼灸コース卒業
入学前
「働きながら」飛び込んだ鍼灸の世界
勤めていた会社や卒業生に勧められて…最初はそんな「じゃぁ、やってみようかな」と軽い気持ちで飛び込んだ鍼灸業界
- 入学前は何をしていましたか?
- 高校卒業後様々な仕事を転々とした後に、映画関係の会社に就職しました。 その時に身体がしんどくて、マッサージを受けたときに楽になり、感動して「こういうことを自分の仕事にしたい!」と思ったことがきっかけで、 株式会社グローバルスポーツ医学研究所に入り、リラクゼーションスタッフとして働き始めました。 会社では主に来店されたお客様を手技で癒したり、スポーツマッサージでスポーツ関係や業界関係に出張に行ったりしていました。
- 鍼灸師を目指そうと思ったきっかけは?
- 勤めていた会社では、鍼灸やマッサージの治療院もあり、 先輩の鍼灸師の方や上司から鍼灸を取っておいた方が仕事の幅や給与も上がるとアドバイスされ、最初は「じゃあ、やってみようかな」という気持ちではじめました。
働きながら、夜間部で。両立のしやすさが効率よく学べた理由
- なぜ神戸東洋医療学院を選びましたか?
- 卒業生に、神戸東洋医療学院はアットホームで良い雰囲気と聞いていて、職場も三宮で近くだったので、通いやすくて決めました。 会社も鍼灸学校に行くことにとても協力的であったので“働きながら”という両立がしやすかったです。
- 夜間部にした理由は?
- 会社の中では、昼間部の時間で中抜けして通っている人もいましたが、働いてから通う方が区切りもついて、効率的に学べると思い、会社とも相談して僕の希望で夜間部に通わせてもらいました。
在学中
学生生活、中国研修旅行、国家試験…同級生に支えられた3年間。
- 入学後、鍼灸を学び始めて驚いたことなどありますか?
- 体調が悪かった時に中医専門の先生の鍼治療を受けて、すごく良くなったので、ツボを教えてもらい家でやってみたら…悪化してしまって(笑) 施術する人によってこんなに違うものか、と驚きました。
- 学生時代の思い出や苦労したことなどありますか?
- 思い出は、やっぱり中国研修旅行ですかね!朝寝坊して大遅刻! 同級生の電話で目が覚めて、空港までタクシーで向かいましたが、飛行機代より高くつきました(笑) 僕はわりとふわふわとしていて、あまり苦労したという感覚はないのですが…当時はしんどいなと感じても、苦労というより良い経験をできたな、と思えています。 僕が人間関係に恵まれていたっていうのも大きいです。中国研修旅行もそうですが、同級生には学生時代も本当に支えてもらいました。 国家試験前は、勉強を夜遅くまで見てもらったり、僕の気が抜けている時はカツも入れてもらえたりして、信頼できる同級生たちに支えられて、3年間続けられましたし、国家試験も合格できたなと思います。
鍼灸の資格を取ると、患者さんの求めるレベルが上がる。良い緊張感を持てるように。
- 国家試験に合格し、卒業した時はどんな気持ちでしたか?
- 国家試験の前日、試験会場近くのホテルに泊まったのですが、前日まで勉強をしていたら、急に体調が悪くなって、一緒に泊まっていた同級生のすすめで勉強をやめて体を休めることに専念しました。 試験が終わって熱を計ったら39度の高熱でしたが、気合で乗り切ったなと…合格もできて、安心しました。 国家試験に合格し、卒業後晴れて鍼灸師になると、会社ではリラクゼーションから治療院に移り、鍼灸の治療メインとなっていきました。 鍼灸治療になると、やはり格段にできることも増えるので、患者さんの求めるレベルが高くなり、良い緊張感を持って仕事ができるようになりました。
卒業後
先輩の話を聞いたのがきっかけで自分も訪問鍼灸の道へ。
知り合いに与えられた期限があり、家族の理解があったからこそ具体的に踏み出せた。
- どのような経緯で現在の仕事を(訪問鍼灸院開業)するようになりましたか?
- 鍼灸の資格を取得してからは、治療院の方に移って2017年10月までは前の会社で働いていました。 資格をとってから、ずっとこのままで良いのかな?とぼんやりと考えてはいましたが、具体的に決め始めたのは、会社の元先輩で訪問鍼灸を開業している方の話を聞いたのがきっかけでした。 それから訪問鍼灸をしている色んな方のお話を聞くうちに、すごくやりがいがありそうで、自分もやってみたいと強く思って辞める4ヶ月前くらいに、やろう、と決意して会社に伝えました。 決意したのも、先輩の知り合いの方に初めて会ったその日に、「開業するならいつ開業するか明確に紙に書いて宣言して!」と言われて、2017年11月15日と書いていて、実際開業したのがなんと16日でした。 そうやって期限があったから進められた部分もあったと思います。それがなかったら具体的な目標にならなかったので、本当に人に恵まれていますね。
- 働き方の変化についてご家族のご理解は得られましたか?
- その時結婚もしていましたが、奥さんには、今後一緒にいる時間も増やせるし、収入も今より得ていく自信がある、1年間で形にするから応援してもらえないかと相談しました。 奥さんは理解して応援してくれて、実際今は以前より収入も多くなってきているので、よかったです。鍼灸に出会えて本当によかったと思います。
自分の育った街で、地域の結びつきを大切に。
- 現在の治療院(訪問鍼灸院)の営業スタイルを教えてください。
- ケアマネージャーさんの紹介などを通じて患者さんを診ることが多いです。 なので、開業した当初はケアマネージャーさんに挨拶周りの営業に行っていました。 その他、患者さんからの紹介などもとても多いです。 実は、実家を事務所にして開業しているので、昔から知っている土地ということもあり、 地域の交流会やもちつき大会や祭りなどのイベントに参加したりして近所の方に顔を知ってもらい、地域の結びつきを大切にして繋がりを増やしていきました。
鍼灸師は、人の役に立つ仕事と実感。
まだまだ勉強しながらの施術ですが自発的に学ぶようになったのは大きな変化。
10年、20年と積み重ねて自分流を作っていきたい。
- 今の自分と入学前に思い描いていた鍼灸師像に違いはありますか?
- 実は入学前に鍼灸を受けたことがなく、人に勧められたことが動機だったので鍼灸師像も具体的には持っておらず、魔法使いのような不思議な印象でしたが、勉強していくうちに無限の可能性があると感じるようになりました。 訪問鍼灸は病院に通院できない人に対して施術しますが、痛みをとるだけでなく、夜眠りやすくなったり、トイレの回数が減ったり、冷えが改善されたりと、めちゃくちゃ鍼灸っていい!と思うようになりました。 人の役に立つ仕事と実感しています。
- どのようにして効果を出せるようにしていますか?
- 昔は受身で勉強している感覚でしたが、今は教えてもらったことや本や雑誌を読んで勉強したことをその場でためさせてもらって、その効果をみて使っていくか使わないかを選択しています。 学院のトリガーポイント研究会などで勉強できるのもとても役立っていて、開業し、自分の判断で治療するようになってから自発的に学ぶようになりました。 いきなり電話がかかってきて、「今から行く患者さんは癌を羅っています~」、「脊柱管狭窄症があって~」、「頚椎症があって~」、など伝えられるのですが、 「え?どうしよう!どうやったら?」と最初はあせる気持ちもありつつ、他に先輩やスタッフがいるわけでもないので、やるしかないという状況、その環境が自発的に学ばせるように育ててくれました。
- 治療のこだわりはありますか?
- トリガーポイントを中心とした施術ですが、自分のこだわり、というものがそんなに強くなくて、固まってはいません。 それよりも、患者さんに合わせて色んな方法を試して…というように選択して治療していくスタイルを大切にしています。 それが10年、20年と積み重なることで自分流になっていくのかな、と思います。 学生時代にはわからなかった臨床を重ねられている先生のすごさも、今すごく分かってきました。
人から人へ、「伝え聞く」喜びの声
- 鍼灸師として働いている現在のやりがいや患者に言われてうれしかったことは?
- 前の会社で業界関係の出張に行ったりしていたのですが、ある時1時間後に公演を控えた方々の1人が、ぎっくり腰になってしまって、急遽呼び出されたんです。 なんとか治してくれと言われ、観客ももう会場に入っていて緊迫した中、自分が怪しいと思った一点に鍼を打ったところ、一発で良くなり、 こちらもすごく安心しましたが、その方からもすごく感謝されて、「先生ありがとう!」と言われた時、心から良かったと思いました。 それが資格を取ってから一番最初によかったと感じたことですね! 訪問鍼灸は、患者さんはもちろん、ご家族やケアマネージャーさんだったり医師だったり、様々な方から、「あの人良くなって喜んでたよ」と伝え聞くことが多くて、よりやりがいを感じられてすごく嬉しいですね。 今、介護の業界は地域連携がとても大切になってきているので、色んな方とコミュニケーションをとることが勉強にもなっています。
今後の展望
介護全体に携わりたい。地域の方々を支えていきたい。
- 鍼灸師としては痛みの緩和や精神的に楽になってもらうことはもちろんですが、僕は僕にできることをやりたいと考えています。 鍼灸だけにとらわれず、介護業界を盛り上げたいという気持ちがあります。 介護保険でレンタルするものを一緒に考えたり、台風の前に飛びそうなものを片付けてあげたり、日常の小さなことの手助けも含めて、その人には何が必要なのか一緒に考えていき、 介護全体に携わりたい、それで地域の方々を支えていきたいです。
鍼灸師を目指す方へメッセージ
my favorite things
住まいが海の近くになるので、休日は嫁と飼っている犬でブラブラ海沿いを散歩したりしています。
日常や仕事の中でいろんな方々にお会いしてその人の考えだったり思いを聞いたりすることが楽しいです。
これから介護と鍼灸をより強く結びつけたいという想いで、新たな資格の勉強をしています。
人に支えられてきたからこそ、地域や人との繋がりを大切に支えていきたい
やり始めたときは何も分からずツテもない状態で、失敗しまくりでした。失敗を元に勉強して、ようやく少し固まりつつあるので、失敗を成功するための良い経験と考えて、行動するようにしています。