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職場の同僚と働きながら鍼灸学校へ通い、
2人で治療院を開業。
共同経営だからこそどんな問題も解決できる。
2人で治療院を開業。
共同経営だからこそどんな問題も解決できる。
職場の同僚と働きながら鍼灸学校へ通い、2人で治療院を開業。
共同経営だからこそどんな問題も解決できる。
共同経営だからこそどんな問題も解決できる。
左)大西 奈緒美 さん / 右)門野 恵美 さん
温灸サロンぬくもり.鍼灸院2010年 鍼灸コース卒業
入学前
一人だと挫折しそうだったので……二人一緒に鍼灸学校へ
- 入学前はどのようなお仕事をされていましたか?
- フィットネスクラブを運営する会社で正社員として働いていました。0歳から100歳までの幅広い世代の方々が来られ、毎日数百人と接して、接客業の楽しさや厳しさを感じていました。
- 同じフィットネスクラブで正社員として勤務していました。フィットネスクラブではトレーナー、インストラクター、受付事務など、色々な業務に携わっていました。
- お2人の出会いは?
- 同じ会社の同僚でした。大阪と神戸に支店のあるフィットネスクラブで、転勤も多い会社でしたが、偶然店舗が一緒になったときにお互い知り合いました。
「今からでも遅くない」「私にもできるかも」
- 鍼灸師を目指されたきっかけは何ですか?
- 20代前半に潰瘍性大腸炎と診断されたことがきっかけでした。医師から「一生治らないので、薬を飲み続けてください」と言われ、長年薬を飲み続けていましたが、限界を感じていたころに鍼灸治療に出会いました。 鍼灸治療や東洋医学をもっと勉強したら自分の病気も治るのではないかと思い、私も鍼灸師を目指そうと思いました。
- 30歳を過ぎた頃から、私はこのままでいいのかという気持ちが心の片隅にありました。そういうもやもやを抱えていた時に出会ったのがインストラクター兼鍼灸師をされている方でした。 フィットネスクラブで勤めていた時に外部から来られたそのインストラクターの方は40歳を過ぎてから鍼灸学校に通い始め、45歳を超えて鍼灸の資格を取得されたようで、その方からお話を聞いている内に、 私にもできるかも、という気持ちが芽生えました。
- 私も初めは、鍼灸師を目指そうと思っても仕事もあるので、働きながら通うことに不安がありましたが、その方のお話を聞いて、今からでも遅くないと思い、鍼灸学校に通うことを決めました。 ただ、一人だと挫折しそうだったので、門野先生も一緒に誘って二人で通うことにしました。
働きながら通える!夜間部のある学校へ
- 神戸東洋医療学院を選ばれた理由は何ですか?
- 会社を辞めずに、働きながら通えることが一番の条件で探しました。学校選びの際に、学校見学だけでなく、付属治療院にも通っていました。 そこで対応いただいた先生方がとても親切で、治療も丁寧で分かりやすく説明してくださいました。 学内の雰囲気も自分と合っていると感じ、神戸東洋医療学院に入学しようと決めました。
- フルタイムで働きながら、自宅は神戸の西の端で勤務先は大阪という厳しい条件でもなんとか通える場所と授業時間だったことが一番の理由です。 また、体験入学会に参加した時に教員の先生の実技体験を受け、とても楽しめたことも決め手の一つでした。 こんなに楽しく、尚且つ素人が聞いても分かりやすく教えてくれる先生がいるこの学校で勉強したいと感じました。
在学中
仕事と学業の両立は想像以上に大変。仲間と励ましあって学んだ3年間
- 学生生活で苦労されたことは?
- 早朝から8時間働いた後、電車に飛び乗って夜間部の授業を受けるために学校に通っていました。土日祝も休めない仕事だったので、入学前に想像していた以上に大変な3年間でした。 あとは勉強ですね。数十年ぶりの本格的な勉強で、鍼灸は覚えることもたくさんあります。フルタイムで仕事をしていたので、仕事と学業を両立させるためには睡眠時間を削って勉強していました。
同じ目標を持ったクラスメイトとの出会いが支え
- 学生生活で楽しかったことは?
- 仕事との両立で3年間毎日慌ただしかったですが、色々な年齢層・環境のもと学校に通っているクラスメイトと過ごした日々が一番の思い出です。 みんな同じ一つの方向に向かっていく仲間として一緒に切磋琢磨しました。 今でも年に2回程度クラス会で集まって情報交換などもしています。クラス会で集まるときには、OB天馬会から助成金も出るので、うまく活用させてもらっています。
- 在学中は本当に毎日がハードで、身体も気持ちもフラフラでした。今思えば人生で一番頑張った時かもしれません。 そんな中でも、同じ目標を持った色々な人と出会い、共に励ましあいながら学べたことが良い思い出です。入学時は40代でしたが、この年齢で久々の学生生活を満喫できました。
- 卒業した時の気持ちを教えてください。
- やっとスタートラインに立てた!その一言です。
- やっとこの生活から解放される、というのが正直な気持ちでした。3年間毎日必死に頑張って、ようやく卒業して鍼灸師の資格が取れたので安心しました。
卒業後
どんな問題も共同経営だから解決できる
約30年間務めた会社を退職し、二人で共同経営の鍼灸院を開業
- どのような経緯で開業を考えましたか?
- 卒業してからは、入学前から働いていたフィットネスクラブで仕事を続けながら、色々な資格の勉強をしました。 現在では、一般社団法人イトオテルミー指導師、健康運動指導士、機能改善ヨガ指導員、ラジオ体操指導員、公益社団法人日本アロマ環境協会認定アロマアドバイザー、 日本オルゴール療法研究所認定オルゴール療法士オルゴールセラピスト、せんねんきゅうセルフケアサポーター、かっさ協会認定かっさセラピスト・かっさアドバイザーの資格を取得しています。
- 以前から勤務していたフィットネスクラブ内でトレーナー、インストラクターをしながら、少しだけ施術もしていました。
- 鍼灸の資格を取得しても、会社に勤めたままだと活かすことができないので、鍼灸師の資格を活かして何かお手伝いできることはないかと思い、神戸市垂水区の区役所にボランティアしたいということを伝えに行きました。 鍼灸や運動、体操ができることを伝えると、ちょうど体操とお灸のボランティアをしてほしいと依頼があり、月に1回1時間程度のボランティアを始めました。 仕事が休みの日には、垂水区北舞子にある阪神大震災の震災復興住宅で「東洋医学からみた健康のお話」と健康運動指導士の資格を活かして考案した「ツボを押さえながらのゆるツボ体操」「自分でできるお灸」など 二人で8年間ボランティアを続けています。そのおかげで、今では別の自治体からも体操教室のボランティアの依頼の声をいただいています。
- お互いに鍼灸以外にも様々な資格を取得して、約30年務めたフィットネスクラブの会社を退職後、2017年4月「温灸サロンぬくもり.鍼灸院」を二人で開業しました。
- 二人で開業しようと思ったきっかけは?
- 遠い将来は開業したいと漠然と考えていました。いつ開業するのかは考えていませんでしたが、定年まで今の仕事を続けるのもどうなのか、という思いがありました。
- 初めから開業は二人で一緒にしたいと考えていました。開業費用といった経済面的なこともそうですが、一人だったら頑張って開業しようとは思っていなかったと思います。 それから仕事を続けながら二人で少しずつ開業するための準備を進めました。いつまでに開業したい、というような期間を決めていなかったため、開業準備にはしっかりと時間をかけることができました。 どんな方でも気軽に遊びに来ることができるような治療院を理想とし、この住み慣れた垂水区で駅から徒歩で来院できるような物件に出会ったのも一つのきっかけです。 温かみのある日常と離れた空間を作りたかった為、自然の木などを使い、壁の珪藻土は家族や友人たちと一緒に塗り、完成させました。
- 開業のタイミングをずっと悩んでいましたが、二人で治療院を経営する体制がすべて整ったところで治療院を開業しました。
- 女性専用の鍼灸サロンとした理由は?
- セキュリティ面ですね。一軒家で開業しており、お互いに一人の時もあるので。
- それに、自分たちがしてほしいことを同じ女性の為にしてあげたいという気持ちも強かったからです。 重病人の方ももちろんなんですけど、そういう方だけではなくて、体調が悪いのにお医者さんに行っても結局大丈夫ですって言われて帰ってこられた方もけっこういたり、 お年を召した方なんて「歳ですね」と言われて帰らされることも多いみたいで。 そういう方たちのお手伝いも、女性ならではの悩みなど自分たちがお答えできることがあると思うので、女性専用の鍼灸サロンにしました。
「地域で仲良く健康に」がモットー
- 現在の治療院のスタイルや力を入れていることを教えてください。
- 「体の外からも内からも健康に美しく」をコンセプトに、女性鍼灸師による女性のための隠れ家サロンです。治療院の名前のように「温かくて居心地のいい治療院」を目指しています。 多くの方に鍼灸治療や東洋医学にもっと関心を持っていただきたい為、年に数回、治療院2階フリースペースをカフェ風にして、お茶を飲みながら自分でできるお灸教室「ぬくもり.お灸カフェ」を開催し、 思わず遊びに来たくなる治療院、気楽に話せる鍼灸師を目指しています。 また、「地域で仲良く健康に」をモットーに、垂水区社会協議福祉会、あんしんすこやかセンター、民生委員と協力して地域のお年寄りの方々が楽しく集まれる環境づくり、楽しみながら転倒防止、寝たきり予防の体操なども行っています。 東洋医学の知識を活かして、少しでも皆様の健康とコミュニティのお手伝いが出来ればと思って活動しています。
どんな問題も共同経営だから解決できる
- 共同経営ならではの良かったことや苦労したことはありますか?
- 共同経営の場合、何かあったときに相談できる相手がいて、どんな問題に対しても二人で一緒に解決することができるのが良いところだと思います。
- 一人で経営していると心細いことも、分からないことも一人で解決しないといけませんが、お互い経営のことも、治療に関しても相談し合えるというのはすごくありがたいです。
- 苦労したことは、意見がすれ違った時の決着方法ですね。やはり二人で経営していると、お互いの主張が異なることもあります。 そういう時は互いの意見の中で、どこまでなら許容できるのか、それぞれ折り合いをつけていくしかありません。
- 共同経営をする前にしておいた方がいいことはありますか?
- 私たちは付き合いが長いので、お互いの性格もある程度分かっていましたが、経営するにあたって様々なルールを細かく決めてきました。 仲が良いからといって、勢いで共同経営として開業したとしても、お金が絡んでくることなので、まず初めにあらゆるパターンを想定してルールを決めていきました。
- 治療院を開業するにあたり、開業資金や治療院の為の家も購入しているので、司法書士と相談して、後で何かがあっても揉めることがないように書面で出しました。 やはり、共同経営でされていても、数年後はどうなっているのか分からない、という不安もあるので、事前のルールは決めておいたほうがいいと思います。
患者様の「笑顔」や届けられる「声」が私たちの宝物
- 鍼灸師としてのやりがいは?
- 治療院に来られる患者様の病気がどんどん良くなって、笑顔が増えていく姿をみていると、鍼灸師になって良かったと感じます。 治療が終わって帰られるときに気持ちよかった、体が軽くなったと言っていただけることが一番の喜びです。 ご家族の方から「病気がわかって不安で押し潰されそうになった時も、施術だけでなく、お二人の優しさで心身ともに助けていただいています。 ここまで元気になれたのはぬくもりさんのおかげです」というお声をいただいた時は本当に嬉しかったですし、この言葉は私たちの宝物です。
今後の展望
鍼灸師はどんな分野でも活躍できる!
鍼灸の知識で色々なことに挑戦し、私たちにできることが増えていく楽しみがある。
- 私は、潰瘍性大腸炎やサルコイドーシスなどのたくさんの難病を抱えています。 病気を持っているからこそ分かること、アドバイス出来ることもたくさんあり、鍼灸師の師匠から「たくさんの病気はある意味、神様からのギフトじゃない!」と言っていただきました。 私と同じ病気を持っている人や、さまざまな病気と闘っている人に「病気は上手く付き合えば怖くない」と伝えていきたいと思っています。 それは鍼灸師として、第2の人生を歩んでいる私の使命だと思っています。
- 入学前は鍼灸師というと地味なイメージがありましたが、鍼灸師は治療だけでなく、美容やスポーツ、介護など多様な分野に活かせる資格で、私たちもこれからまだまだ色々なことに挑戦していきたいと思っています。 今後も鍼灸治療だけでなく、美容や運動なども組み合わせていきながら、治療院のコンセプトである「体の外からも内からも健康に美しく」なっていただけるようなトータルケアとしてお手伝いをしたいと思います。
鍼灸師を目指す方へメッセージ
my favorite things
趣味で沖縄三線を習っています。お声がかかれば老人ホームなどにボランティアに行くこともあります。
また、旅行が好きなので時間があれば海のある南の島に出かけています。小学生の頃からファンの阪神タイガースの応援です。最近では甲子園だけではなく、沖縄や高知のキャンプにまで応援に行っています。
垂水区社会福祉協会、あんしんすこやかセンターの協力で地域の体操教室やボランティアに力を入れています。少しでも地域の方々のお役に立てるように、そして地域の方々と仲良くなれるように頑張っています。