第106回中医研究会
皆さん、こんにちは
5月11日(日)に第106回中医研究会が開催されました。
前半の講義は、福家先生による「食物の多様性と腸内細菌」でした。
日本は、平均寿命が世界でも最も高い長寿国として知られており、長寿に関する研究も注目されています
近年、食物の多様性も腸内細菌叢(腸内フローラ)の状態に大きな影響を与えることが分かってきました。
腸内細菌叢とは、腸内に生息する数百種類もの細菌の集まりであり、栄養の消化吸収、免疫力の調整、炎症の抑制など、健康に不可欠な働きをしています。
その数は一人の腸内に約100兆と言われています。
腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌の三種類に分かれ、それぞれ2:1:7の割合で存在しています。
ただ、悪玉菌の中にもよい働きをするものもあり、一概に善悪を区別できるわけではありません。
日和見菌は環境によって、善玉菌または悪玉菌に変わります。
腸内細菌のバランスは、中医学の陰陽バランスにも相当し、
バランスが取れていると、肌の調子や睡眠の質・量が良くなり、
アトピーや花粉症が抑えられ、健康的な体を維持しやすいとされています。
腸内細菌叢が注目される以前、生物学界における最大の話題は「遺伝子」でした。
2003年、人類ゲノム計画が完了し、遺伝子配列の解明は、人々に病気克服への新たな希望を与えました。
しかし、遺伝子はその複雑なネットワーク構造ゆえに、さまざまな疾患・症状との明確な関連性を見つけるのは容易ではありません。
そのような中で近年、腸内細菌叢が新たな研究の焦点となっています。
ただ、中医学では古来から「脾胃」を五行の「土(土壌)」=五臓の中心と捉えて、
健康や病症を考え、その治療を組み立ててきました。
科学的な解明が進むにつれ、古来の人々の感性には驚かされるばかりです
講義の後半では、参加者から寄せられた不眠や耳鳴、サルコペニアなどの臨床症例や、
膝や肩の痛みなどの症状に対する診察・治療の仕方などについて検討しました。
膝関節症や肩関節の症状に対しては「全息療法」の考え方に基づき、
身体の対称部位や手関節の対応部位を用いた治療法を考察しました。
その後の実技では2グループに分かれて、それぞれのテーマで練習を行いました。
私は棒灸で五十肩に灸治療を行いました。「全息療法」(上下対称、小さいもので大きなものを表す)に基づき、
肩に対して指関節と膝関節を施術部位としました。
棒灸は中国で最もよく使われる灸の方法であり、
熱感も強烈で五十肩などの「凝滞、鬱、瘀血」のある病症に対して効果的であると考えられています。
理論的知識の学習は臨床実践と組み合わせる必要があります。
臨床プロセスの中で継続的に検証し蓄積することによってのみ、学んだことを応用することができるのです
教員 何 驍雋
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