お灸ファンになろう!
早川です。
1年生の『灸実技』の授業を担当しています。
『灸実技』の授業は、まず、お灸の道具について学びます。
お灸の材料になる「もぐさ」の製法、しょうが(生姜)灸や塩灸などの熱くない間接灸、 市販の灸道具などプロフェッショナルとして必要な知識を習得します。
また、実技直前の説明では「なぜ、お灸は効くのか?鍼と灸の違いは何か?」といった 理論的な部分も最新の科学的研究に基づいてお話ししています。
実際の実技授業では、最も技術的に難易度の高い 『米粒大の八分灸』という技術を学びます。
八分灸とは、もぐさを8割程度の燃焼に加減し、やけどをしないお灸のことです。
まず、もぐさを米粒くらいの大きさにし、円錐状に手でひねって板の上に置きます。 そして線香を使って着火し、8割程度燃焼したところで、 指を使って火を消して熱を緩和します。
お灸の熱感は、個人の体質によって感じ方が違うのですが、 指先の微妙な調整で熱感をコントロールすることで、 職人的な微調整が可能となります。
これを患者さんにすると、フワっとした熱感と チクっとした痛感の両方が混じって独特の快感があります。
最初は板の上に八分灸をすることから練習し、
次に自分の手足に行い、 さらに学生同士で施灸しあいます。
慣れてくると、学生同士で足のツボをとりながら、そこに施灸していきます。
ペアを変えながら施灸しあうことで、年齢や性別や体質によって感受性が違うことを学生は実感するようです。
同時に、板の上に紙をひいて10分間でいくつのお灸ができるかを、授業の度に記録していきます。
最初は10分間に10壮から20壮程度だったのが、1年生の末には10分間で140壮ものお灸ができる学生もでてきます。
この10分間トライアルでスピードなどの技術の基礎を鍛え、
学生同士で施灸することで人間相手の施灸技術を磨いていきます。
更にツボを暗記して、ツボの上でお灸できるかを小テストします。
主要なツボにお灸できるという基礎ができたことを確認し、
最後に腰痛・肩こり・膝関節痛などの痛みに対する『臨床的な灸の治療法を学ぶ』というのが 1年間の集大成になります。
私自身、鍼よりもお灸が好きです。
1人でも多くの学生さんが、お灸ファンになって臨床でお灸を多用して、
患者さんにも、『自分でできるセルフケア』として お灸を指導できるようになっていただきたいです。
授業担当:早川
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