中国には京都を指して「洛陽(らくよう)」という呼び名があります。
遣隋使、遣唐使により持ち帰られた中国の古代文化が日本の京都の町並みとして残り、その文化を残してきたからです。
そのため、京都は中国人にとって中国文化を体験できる人気の観光地となっています。
そして、その古き文化の中には中医学の断片もその時代のまま残っているのです。



9月18日、神戸東洋医療学院中医研究会では「仁和寺医学書研究篇」と題し、
学院長含め20名の有志で888年に建立された世界遺産仁和寺を訪問し、貴重な体験をしました。
仁和寺には、日本で国宝に指定される医学書5つの内、実に4つもの国宝を所蔵しています。
『黄帝内経太素(こうていだいけいたいそ)』、『黄帝内経明堂(こうていだいけいめいどう)』、
『医心方(いしんほう)』、『新修本草(しんしゅうほんぞう)』です。

まず境内御室会館にて早川敏弘先生より、「太素・明堂・医心方について」として医学書の講義を行っていただき、
医学書の意義や歴史を再確認しました。
その後、霊宝館にて開催されている「秋季名宝展」において、国宝医学書をはじめとする、
幾多の文化財を仁和寺学芸員の方より説明を受けながら閲覧しました。



文献の内容は広く公開されているため、内容を研究するには今や世界中から読める時代です。
しかしながら、千年以上に亘り引き継がれ守られてきた巻物や書物には、多くの人の思いが詰まり、
その物が魂を持つかのように素晴らしい力が宿っています。
参加した各々が中医学の歴史に思いを馳せ、かくなる私も『黄帝内経』を専門とした研究者として、
とても気持ちが高揚し、こみ上げる物を感じる忘れられない一日となりました。
ご尽力いただいた方々に改めてお礼申し上げます。



神戸東洋医療学院中医研究会 代表 福家慎太郎

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